【ワシントン=川合智之】オバマ米大統領は14日、湾岸協力会議(GCC)6カ国との首脳会議後に「防衛、安全保障協力を含めあらゆる分野で緊密な関係を築く」とする共同声明を発表した。GCC加盟国への脅威に対し「軍事力行使の可能性」も含め共同で立ち向かうと明記した。米がミサイル防衛システムや過激派組織「イスラム国」(IS)対策で軍事支援することも盛り込んだ。
共同声明は「地域を不安定にするイランの活動に対抗するために協力する」とし、イランをけん制した。GCC加盟国は米とイランが核協議で接近し、中東でイランの影響力が増すことを警戒しており、オバマ氏は協力を再確認することで懸念の払拭を図った。
米軍との連携も強化し、ミサイル防衛システムに関する技術支援や武器売却の迅速化、共同軍事演習などを実施する。IS掃討などのテロ対策では、外国人戦闘員の情報共有やサイバーセキュリティー強化などに取り組む。シリアやイエメン、リビア情勢などに懸念を表明し、イスラエルとパレスチナの紛争解決の必要性も確認した。
オバマ氏は14日、ワシントン郊外、キャンプデービッドでの首脳会議が終わった後に記者会見し、米がGCC加盟国の安全保障面で協力を続けると重ねて訴えた。「イランが地域で責任ある役割を果たすことを歓迎する」と核協議での最終合意を呼びかけるとともに、イランが合意内容を履行したことを確認できるまで「制裁は解除しない」とクギを刺した。シリアの化学兵器使用にも懸念を表明した。
首脳会議はサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタール、クウェート、オマーンの6カ国首脳らが参加した。カタールとクウェート以外は皇太子らを派遣した。