東北新幹線で4月29日、架線が切れて停電、約4時間半にわたり全線不通となったのは、一部の架線の位置が本来より低くなっていたため、列車が通過する際に離れているはずのパンタグラフと繰り返し接触し異常摩耗したのが原因とみられることが21日、JR関係者への取材で分かった。
JR東日本は近く、詳細な原因とともに、再発防止に向けた対策を公表する。
切れたのは郡山駅(福島県郡山市)の近くにあり、上りと下りの本線同士をつなぐ「渡り線」の架線。構成する複数の金属線のうち、渡り線上の列車のパンタグラフと接触、電気を供給する「トロリ線」が断線した。
切れたのは、上りの架線と交差している付近。関係者によると、JR東が周囲の架線を鉄道総合技術研究所(鉄道総研)に送って詳しく調べた結果、断線部分の周辺が異常に摩耗しているのが確認されたという。
渡り線のトロリ線は、高速で通過する新幹線のパンタグラフと接触しないようにするため、本線のトロリ線よりも上に、一定の間隔を空けて張られている。
しかし、現場付近では本来よりも低くなっていたためパンタグラフと何度も接触、激しく摩耗したとみられる。
渡り線の架線は少なくとも年1回、社員が検査しており、前回の昨年11月27日の検査では問題はなかった。異常な摩耗はこの検査後に短期間に進んだとみている。
停電したのは4月29日午前11時半ごろで、本線を通過した列車に切れたトロリ線が接触してショートしたのが原因とみられる。この約30分前に通過した列車の車体にも接触痕があり、通過前に断線していた可能性があるという。〔共同〕