東芝は22日、不適切な会計問題を巡り社外のメンバーで構成する第三者委員会による調査対象を発表した。インフラ関連工事のほか、新たにテレビとパソコン、半導体の3部門を対象に加え、ほぼ全事業に調査が広がる。経費の計上時期や在庫評価の妥当性の詳細な検証が始まり、現時点で計500億円強と見込んでいる営業損益の減額修正が、どの程度まで拡大するかが焦点となる。
東芝は客観的な評価を経て外部の信頼を得るため、弁護士や会計士による第三者委員会を今月15日に設置。自社内で検討を進め、同委に委嘱する調査対象を詰めていた。
具体的にはテレビ事業で販売促進費用の計上時期、半導体事業ではシステムLSIや単機能半導体を中心に在庫評価が適切だったかをそれぞれ調べる。この2事業では社内に設けた特別調査委員会の調査で会計処理の妥当性に懸念のある資料が見つかったという。
パソコン事業では製造委託先との部品供給取引が対象となる。損益の計上時期や金額について重点的に検討する。ヘルスケアと白物家電の両事業は対象としていない。第三者委による調査期間は現在、検討中としており、終了時期のメドは示していない。
東芝はこれまで社内の特別調査委員会で約250件のインフラ関連工事の会計処理について調べてきた。現時点で不適切な会計処理が9件判明し、2011~13年度に営業損益ベースで500億円強の減額修正が必要となる見通しだ。
第三者委の詳細な調査により、過去の利益の減額が拡大するかが焦点となる。有価証券報告書の提出期限である6月末までに決算を発表できるかどうかのメドは立っていない。田中久雄社長は「全社的、網羅的に調べる」と説明している。