日銀の黒田東彦総裁は22日の金融政策決定会合後の記者会見で、日本経済は「着実に改善している」と述べた。景気判断を「緩やかな回復基調」から「緩やかな回復」に変更し、判断を「一歩前進させた」と強調した。物価のカギを握る個人消費が「底堅く、さらには強くなってきている」との見方を反映させたもので、日銀が掲げる2%の物価上昇率目標の達成に自信をにじませた。
日銀は22日の決定会合で、年80兆円のペースで金融市場に資金を供給する現在の金融緩和の維持を8対1の賛成多数で決めた。木内登英審議委員が反対し、資金供給を減らすように求めた。
日銀は消費増税を実施した昨年4月以降、景気は一時的に落ち込んだが回復の流れ自体は崩れていないとして、景気判断に「回復基調」という言葉を使ってきた。今回、国内総生産(GDP)の実質成長率が2期連続のプラスになり、家計の消費支出にも明るい兆しが見え始めたため、1年2カ月ぶりに「基調」という表現を削った。
個別項目では、個人消費に加え、住宅投資も判断を引き上げた。一方、公共投資は「緩やかな減少傾向に転じている」と判断を引き下げた。物価は「今後、着実に改善していく」と語った。金融政策については「現時点で追加緩和が必要とは考えていない」と説明したが、必要になれば「(金融政策を)ちゅうちょなく調整する」姿勢も改めて強調した。
最近の株価上昇については、背景に過去最高水準まで改善した企業収益やさらに収益が伸びるとの見通しがあると分析。そのうえで「過度の期待の強気化を示すような動きは観察されていない」との見方を示した。