財務省が1日発表した2015年1~3月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比7.3%増の13兆1294億円と、8四半期連続で増加した。金額ベースではリーマン・ショック前の2008年1~3月期以来、7年ぶりの高水準。伸び率は14年1~3月期(7.4%増)以来1年ぶりの大きさだった。円安に伴う企業業績の改善などを背景に、資金を設備投資に充てる動きが続いた。
産業別の設備投資の動向は、製造業が6.4%増と3四半期連続で増加。新型車向けに生産能力を増強した輸送用機械や、工場の生産自動化システム向けの投資を増やした電気機器などで増えた。非製造業は7.8%増と、プラスは8四半期連続。卸売業による物流センター建設や、宿泊業でのホテル改修などが投資額を押し上げた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるため注目が高い「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で5.8%増えた。伸び率は10~12月期(0.9%)から拡大した。内訳は製造業が前期比2.3%増、非製造業は7.6%増だった。
全産業の売上高は前年同期比0.5%減の343兆5978億円と、7四半期ぶりに減収となった。製造業が3.9%減る一方、非製造業は0.9%伸びた。前年同期に消費増税前の駆け込み需要が膨らんだ反動が出て、食料品や家電などの分野で売り上げが減った。
経常利益は0.4%増の17兆5321億円と、比較可能な1954年4~6月期以降で過去2番目の高水準だった。プラスは13四半期連続。うち非製造業は1.2%増えた。運輸業で堅調なトラック輸送が寄与したほか、電力では電気料金引き上げによる収支改善もあった。一方、駆け込みの反動などで製造業は1.3%減った。
財務省は今回の結果について「景気の緩やかな回復基調が続いている経済全体の動向を反映した」とみている。同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が8日に発表する15年1~3月期のGDP改定値に反映される。〔日経QUICKニュース(NQN)〕