【ワシントン=岩本昌子】米連邦準備理事会(FRB)が3日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、総括判断で「米経済活動は4月初旬から5月下旬にかけて全般的に拡大した」と指摘した。
シカゴ地区やミネアポリス地区など4地区では経済成長は穏やかで、フィラデルフィア地区など3地区では緩やかな成長だった。ボストン地区では業種や分野によって様々だった。クリーブランド地区とカンザスシティー地区ではわずかな拡大だった。ダラス地区では成長ペースがわずかに減速し、アトランタ地区は前回報告時からほぼ横ばいだった。
ほとんどの地区で小売りへの消費は上向いており、小売業者は販売は今年中増え続けると楽観的に予測している。自動車販売は全体的に増加し、一部のディーラーはガソリン価格の低下が販売増を後押ししたとしている。ニューヨーク地区とカンザスシティー以外の大部分の地区が旅行・観光業の拡大を報告した。
製造業は全般的に見ると前回報告時から横ばいまたは増加した。例外として、ダラス地区ではわずかに弱まり、カンザスシティー地区では著しく落ち込んだ。輸送関連の製造が強い一方、金属やエネルギー関連は引き続き弱いと報告した。
住宅用・商業用不動産活動と建築はともに前回報告時よりもさらに良くなった。住宅価格は上昇し続け、一部地域では販売可能な住宅数の不足が住宅販売を抑制し続けている。
金融業では、ローン需要は全体的に増えた。借り手の信用度や滞納率はほぼ変わらないか、または改善した。非金融企業が提供するサービスへの需要は増加し、人材派遣業界は活動が前回報告時から横ばいまたは増えたと報告した。
雇用は全国にわたって前回報告時をわずかに上回る水準となっている。様々な業種が雇用増を報告した。一部地区では一時解雇の事例があがっており、石炭・ガスやエネルギー製造関連が雇用や募集を減らしている。大部分の地区で賃金がわずかに上がった。物価は全体的には横ばいまたはわずかな上昇にとどまっている。