政府は30日午後の臨時閣議で、経済財政運営の基本方針(骨太の方針)、成長戦略、規制改革実施計画をそれぞれ決定する。労働力不足に対応するため、企業に生産性向上へ向けた投資を促す。歳出入改革を進めて、経済再生と財政再建の両立を目指す。
自民党は30日の総務会で、政府がまとめた骨太の方針、成長戦略、規制改革計画を了承した。
骨太の方針には2020年度までの財政健全化計画を盛り込んだ。公共事業や社会保障費といった政策経費を税金などの収入でどの程度まかなえているかを示す基礎的財政収支を20年度に黒字にする目標を堅持した。
財政再建の進捗を確認するために18年度に中間目標を設定した。15年度は国内総生産(GDP)比で3.3%にのぼる赤字幅を18年度には1%程度まで改善する。
社会保障費などの支出の削減額は明記しなかったが、過去3年間で1.6兆円だった一般歳出の伸びを維持する方針を「目安」として打ち出した。歳出改革では新薬と比べて割安な後発薬の使用割合(数量ベース)を46.9%(13年度)から17年中に70%以上、18~20年度の早い時期に80%以上に引き上げる。
財政再建のため、経済成長による税収増を重視する姿勢も改めて示した。成長戦略では安倍政権の経済政策「アベノミクス」の力点を消費などの需要不足の解消から、人口減少下での供給制約の克服に移す。
「未来への前向きな投資によって、生産性革命を実現することが重要」(安倍晋三首相)として、企業に技術開発や人材への投資を促す。ロボットのほか、ビッグデータなどの活用を強化する。
規制改革では農地の集約を促すため、耕作放棄地への課税強化を検討する。医薬分業や理美容業などの見直しにも着手する。一般の家を宿泊施設にする「民泊」は、イベント開催時に自治体から要請があった場合に可能とする。