社員が職務としてなし遂げた発明について、特許を取る権利を「社員のもの」から「企業のもの」に変えられる改正特許法が3日の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。企業は「発明の対価」をめぐる訴訟リスクを減らせる。一方、社員の発明への意欲をそがないよう企業は特許庁の指針に沿って社員に対価を支払う。
改正法は、特許を取得する権利が企業に帰属するのは、あらかじめ権利の取得や対価の支払いを社内規定などで決めた場合に限った。発明に携わった社員は「相当の金銭、その他の経済上の利益を受ける権利」を持つと明記した。きちんとした規則がない会社だと、従来どおり従業員に特許を取る権利がある。
特許を取るコストを引き下げるため、特許料をいまより10%程度下げることも盛り込んだ。最近は中国など海外の企業が先に特許を得て市場を占有するケースが増えている。政府として日本企業の特許取得を後押しする狙いがある。