生活保護に至る手前の新たなセーフティーネットとして4月に始まった生活困窮者自立支援制度で、自治体の45%が、地域のニーズに合わせて選ぶ子どもの学習支援などの4事業を一つも実施していないことが、厚生労働省の調査で6日までに分かった。
制度は、自治体に義務付けた失業者の相談窓口設置などと組み合わせた総合的な支援を想定しているが、狙い通りに運用されていない現状が浮き彫りになった。
制度が義務事業としているのは、相談窓口の設置のほか、離職で住居を失った人への家賃相当額の支給。困窮家庭の子どもへの学習支援を含む4事業は、自治体が任意で実施できるとしている。
厚労省は、都道府県や福祉事務所がある市区町村の計901自治体を対象に、4月1日時点の実施状況を調査。任意事業を一つも実施していない自治体は408あった。1事業実施の自治体数は213、2事業は159、3事業は85。4事業すべて実施しているのは大都市中心に36自治体と全体の4%にとどまった。
事業別に実施自治体の数を見ると▽子どもの学習支援300▽生活習慣の立て直しから就労まで支援する「就労準備支援」253▽宿泊場所や衣食を提供する「一時生活支援」172▽家計管理を助ける「家計相談支援」205――だった。
生活が困窮している人は、シングルマザーで無職といったように複数の要因が絡み合っている場合が多い。厚労省は「包括的支援を行うため、任意事業も組み合わせることが必要だ。ニーズを把握して積極的に取り組んでほしい」としている。〔共同〕