ホンダ(7267)の八郷隆弘社長は6日、社長就任後初の記者会見を都内で開き、「これまで以上に現場とのコミュニケーションを増やして、『チームホンダ』としてチャレンジングなホンダらしい商品を継続的に開発していく」と抱負を述べた。現場主義を徹底し、ブランド力の低下や品質問題などの課題に対応する考えだ。世界各地で過剰となっている生産能力についても、「柔軟に地域間の相互補完を進める」として、地域の枠組みを超えて製品を供給できる体制作りを目標に挙げた。
ホンダは世界6地域で並行して進めてきた増産投資などが裏目に出て、2015年3月期に3期ぶりの最終減益となっている。伊東孝紳前社長が打ち出した、16年度までの世界販売600万台の計画については「数字的に難しい」との認識を示した。ホンダの14年度の販売実績は約436万台。八郷社長は「まずお客様視点でのクルマ作りに注力する」として今後の具体的な販売目標は明言しなかった。
八郷社長は世界6地域で整えてきた生産設備を生かして、地域の枠を超えて需要にあわせて柔軟に商品を提供できる体制をつくる方針。今年度中に日本で生産した小型車「フィット」を欧米に供給することなどを計画している。ホンダはゼネラル・モーターズ(GM)と水素技術で提携している。他社との連携については「お客様とホンダにとってメリットがあれば検討する」とし今後も技術面での協業の可能性を示唆した。
同社はタカタの欠陥エアバッグ関連でのリコール(回収・無償修理)も相次いでいる。全世界でのべ2290万台のリコールを実施しているが「一刻も早い回収と回収率の向上に全力を尽くす」とした。〔日経QUICKニュース(NQN)〕