住友生命保険は11日、米中堅生保のシメトラ・ファイナンシャルの買収で合意したと発表した。買収額は37億3200万ドル(約4666億円)。シメトラの現経営陣は買収後も残るが、日本から取締役を送る。世界最大の米市場への進出で収益基盤を築く足がかりとする。過去1年間に大手3社が米国で5000億円前後の大型買収に乗りだす展開となっている。
住友生命の橋本雅博社長は「海外事業の収益規模が拡大することで、収益基盤を多様化できる」とのコメントを発表した。住友生命は1株あたり32ドルでシメトラの全株式を取得する。過去1カ月間の平均株価に約32%を上乗せした価格だ。日米当局の認可などを経て、2016年1~4月ころに買収手続きを終える。買収金額はすべて手元資金で賄うという。
シメトラは米ワシントン州に本社を置く中堅生保で全米45位。個人・団体保険のほか、個人年金保険を手がけている。ニューヨーク証券取引所への上場は廃止となる。
住友生命はアジア3カ国の生保に出資し、年10億円程度の配当収入を得ている。ただアジアは外資への資本規制が厳しく、出資比率の引き上げは難しい。米シメトラの買収で安定収益を取りこむことをねらう。本業の利益に占める海外事業の比率は、現在の0.4%から8%に上がる。
米保険市場は66兆円で、世界の約2割を占める。成長が見込めるとし、国内の大手生保が相次ぎ米国で大型のM&A(合併・買収)を決めている。今年2月には第一生命保険が米プロテクティブ生命を5750億円で買収。明治安田生命保険も7月に米スタンコープ・ファイナンシャル・グループを6250億円で買収すると発表した。
住友生命保険 日之出生命保険として1907年に創業。当初は株式会社だったが、1952年に現在の相互会社に転換した。本社は大阪市で、総資産は27兆3600億円で国内4位。2015年3月期の売上高にあたる保険料収入は2兆5795億円、本業のもうけを示す基礎利益は4108億円だった。従業員数は4万2115人。
シメトラ・ファイナンシャル 1957創業の中堅生命保険会社。本社はワシントン州のベルビュー市で、ニューヨーク証券取引所に上場。著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイの系列ファンドも約17%を出資している。総資産は340億ドル(約4兆2000億円)。2014年12月期の保険料収入は34億7000万ドル、純利益は2億5400万ドルだった。従業員数は約1400人。