東京電力福島第1原子力発電所事故で避難を強いられ休業中の酪農家を支援するため、昨年から福島市で建設が進められてきた「復興牧場」が完成し、記念式典が25日、同市で開かれた。東北では最大級の規模で、操業は10月からの予定。
牧場は福島県内の30~50代の酪農家5人が共同で経営。いずれも原発事故で避難生活を送る中、酪農再興を目指す福島県酪農業協同組合の呼び掛けに応じて参加した。
式典では記念碑が除幕された後、テープカットが行われた。運営会社の社長、田中一正さん(44)は「牧場が軌道に乗り、福島の酪農仲間に元気を出してもらえたら、これほどの喜びはない」と話した。
同組合によると、県内では約60戸の酪農家がいまだ避難休業を余儀なくされており、生乳生産量も震災前と比べ2割近く減少。酪農は深刻な担い手不足に直面している。
復興牧場では休業に追い込まれた酪農家を支援すると同時に、日本では珍しい共同経営方式を導入することで酪農の次世代モデル構築を目指す。
牧場では乳牛約580頭を飼育し、生乳生産量は年5千トンを計画。従業員数は20人規模で、牧草は周辺の耕作放棄地を活用して育てる。〔共同〕