3日にあったJA全農おかやまの競りでは子牛に次々と高値がついた=真庭市草加部
和牛の子牛の値段が高騰を続けている。JA全農おかやまの総合家畜市場(岡山県真庭市)では、1頭平均が80万円を超え、5年前に比べてほぼ倍の水準。農家の高齢化などで全国的に繁殖雌牛が減り、子牛が不足していることが要因だ。子牛を出荷する繁殖農家の経営にはプラスだが、子牛を買って育てる肥育農家にとってはコスト高になる。牛肉の安定供給に影響する可能性もある。
JA全農おかやまの今年度の子牛の競りは9回。今月3日に今年度最後の子牛の競りがあった。会場で競りを待つ子牛たちは、生後9カ月前後で、体重は200~300キロ程度。順番が来ると、血統や体重などが表示され、瞬く間に価格がせり上がっていく。1頭当たりの時間は30秒足らず。流れ作業で進んでいく。
この日は、286頭が売買され、雌の子牛と去勢した子牛の平均は1頭約83万2千円。前回1月の競りから約2万4千円上がり、過去最高を更新した。最高値は、雌の約294万8千円。200万円を超えると、会場からはどよめきが起きた。
5年ほど前は、1頭の平均が40万円程度だったが、年々値段が上がっている。高騰の要因は全国的に高齢化による農家の廃業が相次いでいることだ。口蹄疫(こうていえき)の発生で大量に牛が処分されたことなどによる繁殖雌牛の減少も影響している。畜産統計によると、2010年には68万4千頭だったが、15年には58万頭にまで減った。
真庭の市場に子牛を出荷した繁殖農家たちからは、高い相場を歓迎する声が聞かれた。「今の水準なら続けられる。このまま横ばいでいってくれれば」「ここまでの相場は48年やってきて初めて。夢にも思わなかった」
一方、子牛を買う肥育農家は不安を募らせる。子牛の高騰で、肉牛の生産コストの約6割を子牛代が占める。輸入飼料も高止まりの状態。子牛を買って肉として出荷するのは、1年半ほど先だが、買った子牛の値段に見合うかどうかというと、難しいのが現状だ。
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