【ブエノスアイレス=宮本英威】南米アルゼンチンの大統領選挙は25日に投開票が行われ、この日の投票では決着がつかない見通しとなった。野党で中道右派のマウリシオ・マクリ・ブエノスアイレス市長(56)、与党で中道左派のダニエル・シオリ・ブエノスアイレス州知事(58)の上位2人が11月22日の決選投票に進みそうだ。
選管当局の発表(開票率約80%)によると、得票率はマクリ氏とシオリ氏がともに35%強でほぼ拮抗した。3位はセルヒオ・マサ下院議員(43)で約21%だった。
第1回投票で勝利するには得票率で45%以上を獲得するか、40%以上で2位候補に10ポイント以上の差をつけることが必要だった。シオリ氏の地盤である「ブエノスアイレス州の開票が遅れている」(選管)ものの、事前の世論調査よりマクリ氏の得票が多く、地元テレビは「驚き」と伝えている。
アルゼンチンでは、2007年に就任した現職のフェルナンデス大統領が、低所得者層向けの社会施策の拡充で高い人気を誇る。与党連合「勝利のための戦線」のシオリ氏は、現政権の路線の継続を訴えた。
野党連合「変えよう同盟」のマクリ氏は「変化」を主張。より市場を重視し、01年の債務不履行(デフォルト)を巡り米ファンドと対立している問題の解決を優先課題だと主張してきた。
大統領選は現職のフェルナンデス氏の任期満了に伴い行われた。連続3選は禁じられており、同氏は出馬できない。次期大統領は12月に就任し、任期は4年。