神奈川県横須賀市は26日、今年5月に全面施行された空き家対策特別措置法に基づき、老朽化により倒壊の恐れがある所有者不明の空き家を行政代執行で取り壊す作業を始めた。横須賀市によると、特措法に基づく取り壊しは全国初。
対象は同市東浦賀の木造住宅で、11月末に除去作業を完了する予定。費用は市が負担する。
市から委託を受けた業者の作業員が窓を外し、植栽を伐採。周辺の道には幅が約1メートルしかない部分もあって大きな機材を使えないため、作業員は足場用のパイプを肩に担いで運んだ。
市によると、2012年10月、周辺住民から「屋根が落ちてきそうで危険だ」などの苦情が寄せられた。外壁も含めて倒壊の恐れがあり、市は放置すれば著しく危険となる恐れがある「特定空き家」と判断した。
住民票や登記簿で所有者が分からず、特措法に基づいて固定資産税の情報を取得したが、所有者を特定できなかった。
特措法によると、特定空き家に認定した場合、市は所有者に除去、修繕などの助言や指導、勧告、命令ができる。措置が取られなかったり不十分だったりすれば、市が代執行することも可能となる。横須賀市は他に少なくとも60棟を特定空き家に指定している。〔共同〕