中国主導で新設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の総裁に就く金立群氏は、「クリーンでリーン(効率的)、かつグリーン」な機関を運営する決意を表明した。最も高い国際標準に従い運営するが、ライバルより素早く活動する機関になるという。
総裁就任が内定している金氏は、AIIBは融資において最も厳しい環境、社会基準を守り、多くの意味で既存の多国間開発銀行を手本にすると語った。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)初代総裁に就く金立群氏。米国と日本が株主としてAIIBに参加するのは歓迎すると述べた=AP
だが、元中国政府高官の金氏は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューで、AIIBは確立された融資機関よりずっと早く決断を下すと述べた。AIIBは2016年第2四半期に最初のプロジェクトの「一群」を明らかにする計画だ。
■「我々は包括的」、日米参加は歓迎
金氏は、AIIBが中国の力の新たな手段になるとの懸念――米国政府と日本政府内で広く持たれている――を一蹴し、こう語った。「これは中国の銀行ではない。(創設段階から株主として参加した)57カ国すべてによって保有されている銀行だ。将来はもっとメンバーが増える。そうでしょう?」
米国と日本が株主としてAIIBに参加するのは歓迎だと金氏は述べ、「我々は非常に包括的だ」と付け加えた。ただし、もし日米が参加したら、AIIBは両国を受け入れるために1000億ドルの資本基盤を拡充しなければならないという。残る57カ国のメンバーがほぼすべての株式を引き受けてしまったからだ。
そうなると、米国と日本は、世界銀行や他の欧米主導の多国間機関に対抗する独自機関を構築する中国の策略と見なされているAIIBの能力を増強するという厄介な立場に置かれることになる。
AIIBは年末まで、正式に誕生しない見込みだ。メンバー国はまだ設立協定を批准しているところだ。また、加盟各国はAIIBの社会、環境基準といったものを詳細に議論しており、その一方で暫定事務局がスタッフを採用している。
一方、AIIBはすでに最初の融資を準備しており、第1弾の融資案件には、世界銀行およびアジア開発銀行(ADB)との協調融資プロジェクトが含まれる。これは部分的に、AIIBのイメージを和らげ、既存機関と連携する意思を強調することを意図した動きだ。