米議会下院の公聴会で20日証言した連邦捜査局(FBI)のコミー長官は、昨年の米大統領選でのロシアとトランプ氏陣営の関係についての捜査を昨年7月に着手したと明らかにした。また、トランプ大統領がオバマ前政権が盗聴器を仕掛けたと主張していることには、「裏付ける情報はない」と一蹴した。
公聴会は、ロシアが大統領選にサイバー攻撃などで介入したとされる問題を巡り開かれた。コミー氏は、ロシアの介入への捜査に関し、「トランプ陣営の個人とロシア政府との関係、陣営とロシアが協力したかを捜査している」と明言した。
FBIが捜査中の事件について言及するのは異例。コミー氏も「特に機密事項を含む捜査では、捜査の存在を認めないのが慣例だ」と説明した。その上で、「世論の関心が高く、通常ではない現状」を理由にあげ、司法省が捜査への言及を許可したとした。ただ、捜査の詳細については「話せない」と繰り返した。
また、コミー氏はトランプ氏が選挙中にオバマ前大統領に盗聴されたと主張していることの根拠に疑問を呈した。「FBIで慎重に調べたが、(主張を)裏付ける情報はない。司法省も同様だ」とした。
ホワイトハウスのスパイサー報道官は20日の会見で「トランプ氏とロシアの共謀の証拠はない」とし、さらに盗聴問題でも主張を変えるつもりはないとした。(ワシントン=杉山正)