経済協力開発機構(OECD)は9日に発表した最新の経済見通し(エコノミック・アウトルック)で、世界経済の実質国内総生産(GDP)の成長率予測を2015年は前年比2.9%増、16年は3.3%増とした。6月の前回予測から0.2ポイントと0.5ポイント引き下げた。中国をはじめとする新興国経済や世界貿易の減速が背景としている。足元で貿易活動が弱まっているものの、中国の持ち直しにより世界の貿易と経済成長は徐々に回復するとも展望。17年の世界経済の成長率は3.6%増を見込んでいる。
日本の成長率予測は2015年が0.6%増、16年は1.0%増とした。6月時点から0.1ポイントと0.4ポイント下方修正した。輸出の鈍化や低調な個人消費が重荷になる。16年以降は労働市場の需給引き締まりで賃金上昇の勢いが加速。消費も次第に回復すると見込んでいるものの、17年は4月の消費再増税の影響で、成長率は0.5%増に減速すると予想した。
海外景気では、米国は堅調な家計消費を受け、15年から17年にかけて2%台半ばの安定成長が続くとみている。一方、中国は14年の7.3%増から15年(6.8%増)、16年(6.5%増)、17年(6.2%増)と成長率の鈍化を見込む。消費やサービス主体の経済へ構造変化が進む過程で「成長率の急減速を避け、財政安定リスクを抑えつつリバランス(再均衡)を達成するのは非常に難しい課題だ」と指摘した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕