経済協力開発機構(OECD)は9日公表した最新の経済見通し(エコノミック・アウトルック)で、日本の2015年の実質成長率を0.6%増と、前回6月の見通しから0.1ポイント引き下げた。中国・アジアの需要が落ち込み、日本の輸出や生産が減ったことが響いた。16年も1.0%増と、0.4ポイント下方修正した。
15年は国内消費の低迷も成長率を押し下げた。OECD経済局の日本・韓国課長、ランダル・ジョーンズ氏は「13年は株価上昇で消費が活発になったが、その反動減が長引いている」とみる。13年にマイナス圏にあった貯蓄率が、15年は2.5%程度に上昇した。
16年には失業率の低下にともなって実質賃金が上昇し、消費は回復に向かうとみる。17年4月の消費増税前の駆け込み需要も消費を押し上げる。
17年の日本の成長率は0.5%とみている。17年4月の消費増税直後は大きく落ち込むが、世界貿易の回復を支えに持ち直し、通年ではプラス成長となる見立てだ。
世界経済の15年の見通しは2.9%増と、前回から0.2ポイント引き下げた。ブラジルを2.3ポイント低い3.1%減、ロシアを0.9ポイント低い4.0%減とするなど、資源国の低迷が足を引っ張る。中国は6.8%増に据え置いた。9日にパリで会見したアンヘル・グリア事務総長は「世界貿易の減速や投資の弱まりへの懸念は深刻だ」と指摘した。
米国は0.4ポイント高い2.4%増、ユーロ圏は0.1ポイント高い1.5%増にそれぞれ引き上げた。米国は原油安やドル高で家計の購買力が上がり、消費がけん引役となっている。ユーロ圏も金融緩和や原油安などで回復が続くとみる。