国の予算の無駄を外部有識者らが点検する政府の「行政事業レビュー」は13日、最終日となる3日目の議論に入った。2020年の東京五輪・パラリンピック関連事業を取り上げ、文部科学省が所管する独立行政法人、日本スポーツ振興センター(JSC)に選手強化などを目的として支出している交付金を点検した。情報公開を徹底し透明性を高めるよう求めた。
東京五輪・パラリンピックなどのスポーツ関連予算について協議する「行政事業レビュー」(13日午前、東京・霞が関)
秋のレビューでJSCの交付金を取り上げるのは2年連続。JSCは選手強化のため、15年度は各競技団体に計74億円を交付した。16年度予算の概算要求では、助成金の財源として103億円を計上している。
配分額の決定プロセスが不透明だとの声があがり「議事録を公開するなど、配分結果の情報開示を進めるべきだ」と結論づけた。補助対象の競技団体のコスト削減努力も促した。選手強化にあたっての文部科学省のタスクフォースとJSCの役割分担や責任の所在が「曖昧」との意見も出た。
参考人として出席したスポーツ評論家の玉木正之氏は「JSC内部にスポーツに精通した人材がいるか疑問だ」と指摘した。
JSCは新国立競技場の事業主体でもある。旧建設計画での設計業務を含む契約手続きの不備が判明し、計画の見直しを迫られる問題も起きた。河野太郎行政改革相は競技場の計画白紙撤回をめぐり、当時のJSC理事長を更迭するよう求めた経緯がある。
レビューでは二酸化炭素(CO2)の削減技術の実証実験事業もテーマに検証した。午後は五輪関連予算のほか、文科省の国際宇宙ステーション開発費、厚生労働省の医療保険、国土交通省の観光事業を点検する。
国際宇宙ステーションには、これまで累計8260億円の国費を投入しており、投資に見合った成果が得られているか議論する。参考人として宇宙飛行士の星出彰彦氏を招く。