財務省が19日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1115億円の黒字だった。7カ月ぶりの貿易黒字に転じた。QUICKが事前にまとめた市場予想(2700億円の赤字)に反して黒字となった。原油安でエネルギーの輸入額が1割超減った影響が大きかった。前年同月は7417億円の赤字だった。ただ、中国の景気減速を背景にアジア向けの輸出は低迷。輸出額は円安の支えがありながらも14カ月ぶりにマイナスに転じた。
輸入額は13.4%減の6兆4325億円と、10カ月連続でマイナスだった。原油価格の下落で、中東地域から原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入額が減った。10月の原粗油の輸入額はほぼ半減した。昨年10月にiPhone(アイフォーン)関係の輸入額が膨らんだ反動もあった。欧州連合(EU)からの輸入額は10月としての最大を記録した。医薬品や航空機などの輸入が増えた。
輸出額は2.1%減の6兆5440億円。対世界の数量指数は4.6%下がった。中国向けは有機化合物や自動車部品などの輸出が減少。米国向けの自動車輸出などは堅調だったが、補えなかった。対ドルの為替レートは10月の平均値が1ドル=119.98円と、前年同月と比べ10.7%の円安だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕