東京都国立市は三角屋根で親しまれた旧国立駅舎の復元を目指し、当時の木造部材を使い設計・施工を一括して請け負う事業者を選定する。同市は現在、復元のための用地の取得に関して東日本旅客鉄道(JR東日本)と協議中で、2017年度の着工、20年初めの完成を目指している。
旧国立駅舎は1926年に開設した木造建築。赤い三角屋根と白い壁という洋館風の外観が特徴で、国立のまちのシンボル的存在だった。市の指定有形文化財だったが、06年にJR中央線の連続立体交差事業の実施に伴い、JRが解体した。
解体した柱や梁(はり)など部材は市がJRから引き取り、保管している。解体部材を使用して復元するには部材の文化財的価値に関する知見を持ち、設計から施工までを一貫して担える事業者が欠かせないと判断。提案内容を評価するプロポーザル公募の形で選ぶ。
事業者の選定後、市は今年度末に部材の調査を含む基本設計に着手。16年度からは実施設計に入り、17年度に工事を開始し、20年2月の完成を予定している。5年間の事業で、工事費・用地費のの約4割は国の補助金を充てる。用地は以前あった国立駅南口の約500平方メートルを取得する方向でJRと協議している。