入所者3人が昨年、相次いで転落死した川崎市幸区の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、別の女性入所者(86)に暴行したりベッド脇の職員を呼ぶ装置を外したりしたとして、神奈川県警は近く、暴行容疑で元職員1人を、偽計業務妨害容疑で元職員2人を、それぞれ書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で9日、分かった。
女性の長男が室内に隠したカメラで暴行などの様子を撮影していた。
捜査関係者によると、今年6月、元職員1人は女性の頭をたたいて暴行した疑いがあり、元職員2人は職員を呼ぶためにベッド脇に取り付けられた装置を外した疑いが持たれている。
長男が撮影した映像には、職員が頭をたたき、女性が「私の頭をぶったからね。痛かった」と話す様子や、職員が女性を抱え上げて投げるようにしてベッド上に移動させる模様が写っていた。
川崎市は今年6月、施設を監査した結果、暴言を吐いたり頭をたたいたりした職員を4人としていた。市によると、施設側はうち1人を懲戒解雇、他の3人は退職した。
川崎市は、暴行のほか転落死が相次ぎ、窃盗事件もあったことから、介護保険法に基づき、施設に対し介護報酬の請求を3カ月間停止させる行政処分をする方針。
この施設では昨年11、12月、86~96歳の男女3人がベランダから相次いで転落して死亡。神奈川県警は転落死に不審な点がないか、事件と事故の両面で捜査している。〔共同〕