【ロンドン=黄田和宏】英ロンドン東部の地下鉄駅で5日夜に起きた刺傷事件に関連して、ロンドン警視庁は6日、逮捕した容疑者の男の関係先を家宅捜索した。警察は男が「これはシリアのためだ」などと叫んでいたことから、過激派組織「イスラム国」(IS)との接触がなかったかなどを慎重に調べている。英検察当局は7日、容疑者の名前を公開し、起訴したと明らかにした。
容疑者の男は29歳で、事件の動機については明らかになっていない。英国の治安当局や情報機関は、約2千人がテロ行為に及ぶ懸念があるとして警戒しているが、英紙ガーディアンによると、事件の容疑者はこれらの要注意人物には含まれていなかった可能性が高いという。
11月13日に起きたパリ同時テロ以降、英国では鉄道などでの警備を増強していたが、今回の事件を受けて一段と警戒体制を強化する。英鉄道警察は6日、テロの抑止に向けて私服警官を含む警察官の配置をさらに増やす方針を発表した。武装警官や警察犬、監視カメラによる警備も拡大する。
事件の起きたロンドン地下鉄セントラル線の「レイトンストーン駅」に近いイスラム教モスクのイムラン・パテル導師は6日、容疑者が集会メンバーに含まれていないとして、「いかなる暴力やテロ行為も強く非難する」と声明を出した。