【ストックホルム=西山彰彦】ノーベル賞授賞式を終えた受賞者は10日夜(日本時間11日未明)、スウェーデン国王らとの大晩さん会に臨んだ。梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長(56)と大村智・北里大学特別栄誉教授(80)は授賞式の余韻をかみしめつつ、約1300人がえんび服やロングドレスで着飾った豪華なうたげを楽しんだ。
晩さん会は、ストックホルム市庁舎の「青の間」で開かれた。大村さんは着物姿の長女、育代さん(43)とスウェーデンのロベーン首相のパートナーの女性をエスコートして、ノーベル賞の金色のメダルをかたどった黄色やオレンジなどの花で彩られた会場に入場した。
大村さんが「おやじの晴れ姿を見ようと思ってスウェーデンについてきてくれたんじゃないかな」という娘の育代さんは「立派でした。(母に)報告します」と感動の面持ち。大村氏はロベーン首相のパートナーの女性の隣に着席し、にこやかに歓談した。
シルビア王妃とソフィア王女に挟まれた梶田さんは、身ぶり手ぶりを交えて会話し、「世間話でした。王族とリラックスした気持ちで話させていただいた」と楽しそうだった。カール16世グスタフ国王にエスコートされて入場した梶田さんの妻、美智子さん(57)は「簡単な英語で話しかけていただきました」と語った。
料理はミシュランの星を獲得した市内のレストラン「エスペラント」のシェフ、サイアン・イサクソンさん(41)が担当。出席者は「ヒラメとホタテと海藻にブラウンバターと魚卵添え」の前菜に始まるコース料理を堪能した。すし店も経営するイサクソンさんは、日本の料理人が食材を大事にする哲学を晩さん会の料理に生かしたという。
フラワーデコレーションを担当したぺー・ベンジャミンさんも日本に何度も来日し、展示会などを開いた日本通。日本とスウェーデンの文化が融合したうたげは、深夜まで続いた。