【ワシントン=吉野直也】ケリー米国務長官は28日、旧日本軍による従軍慰安婦問題について日韓両国が決着で合意したことに関し「歓迎する」との声明を発表した。「米国の最も重要な同盟国である日韓関係の和解を促し、改善を後押しする」と指摘した。これを受け、日本政府は2016年3月に米国で開催する核安全保障サミットの際に、日米韓首脳会談を開く方向で検討する。
ケリー氏は慰安婦問題を巡る日韓合意を「最終的かつ不可逆的」に解決するものだと強調。「日韓の指導者が持つ勇気と未来像を称賛し、国際社会が合意を支持することを求める」とした。
ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)も声明で、日韓の和解への「包括的な解決策だ」と評価。さらに「合意の完全履行を支持する」と表明した。日韓両国の政権が代わるたびに慰安婦問題が蒸し返されることのないよう、第三者の同盟国として念を押す狙いがある。
日米韓首脳会談は慰安婦問題の解決を踏まえ、北朝鮮などを念頭に、安全保障分野での連携を強化することを確認する見通しだ。北朝鮮による拉致問題についても協力を申し合わせる。
会談が実現すれば14年3月以来となる。前回は悪化した日韓関係の修復をめざして米国が仲介役となった。
慰安婦問題の日韓合意後、初めて日韓首脳が顔を合わせる機会となる可能性があり、日本は関係改善の流れを確かなものにしたい考えだ。
核安全保障サミットは来年3月31日と4月1日にオバマ大統領の呼びかけでワシントンで開催する。安倍晋三首相は出席に意欲を示しており、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も出席する可能性が高い。前回の日米韓首脳会談も、同サミットに合わせて実現した。