JSRが25日発表した2015年4~12月の連結決算は、純利益が前年同期比14%減の197億円だった。スマートフォン(スマホ)需要の後退で、液晶ディスプレー材料の販売が不振だった。国内では自動車生産が低迷し、タイヤ用合成ゴムの出荷が落ち込んだ。
売上高は4%減の2944億円だった。半導体や液晶ディスプレー用材料などの多角化事業は5%増収。昨年バイオベンチャーの医学生物学研究所を連結子会社化した影響で売上高が増えたが、収益をけん引してきた電子材料の販売は振るわなかった。合成ゴムなどの石油化学系事業は9%の減収だった。タイヤ用合成ゴムは東南アジアでエコタイヤ向けが好調だが、国内不振が響いた。
営業利益は3%減の294億円。原油安で合成ゴムなどの原料コストは下がったが、販売減を補えなかった。経常利益は278億円と16%減った。タイ子会社の設備資金をドル建てで借り入れており、ドル高・バーツ安で26億円の為替差損が出た。
「合成ゴムの市況悪化は底を打った」(平野勇人取締役)として、16年3月期通期の予想は据え置いた。営業利益は前期比8%増の410億円、純利益は微増の300億円を見込む。