日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、1月26日までに公表された各種経済指標の情報を織り込んで予測したところ、2015年度の実質成長率は0.9%、16年度は1.4%の見通しとなった。
15年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0.2%減と、2期ぶりのマイナス成長となったもよう。消費が前期比マイナスとなるのが響く。
16年1~3月期以降は、消費は回復に転じ、輸出や設備投資も底堅く推移する見込み。実質GDPは17年4月の消費増税までプラス成長を続ける。
■1~3月期以降の消費は回復
GDPベースの実質民間最終消費(個人消費)と似た動きをする消費総合指数は、11月は前月比1.2%減となった。本予測では、10~12月期の消費を前回予測より下方修正し、前期比0.3%減と2期ぶりのマイナスを見込んでいる。
一方、内閣府が1月12日に公表した15年12月の消費者態度指数は3カ月連続で前月を上回った。同日に内閣府が公表した12月の景気ウオッチャー調査では、家計動向関連の現状判断DIが2カ月ぶりに前月比プラスとなった。足元の失業率や有効求人倍率は、1990年代以来の良好な水準で推移している。消費者心理の改善や堅調な雇用環境を背景に、16年1~3月期以降の消費は回復していく見込み。15年度の消費は前年比横ばいにとどまるが、16年度は、消費増税前の駆け込みもあり、同1.4%増となる見通しだ。
■輸出は下方修正も堅調に推移
財務省が1月25日に公表した貿易統計を基に日本銀行が算出した15年12月の実質輸出は4カ月ぶりに減少した。本予測では、10~12月期のGDPベースの実質輸出を前回予測から下方修正し、前期比0.6%増になると見込んでいる。
1月19日に公表された中国の15年10~12月期の実質GDPは、前回のNEEDS予測の見込み通り、前年比6.8%増となった。16年に入ってから中国の株価下落が世界の株式市場や為替市場に動揺をもたらしているが、本予測では、16年は同6.5%増の成長が続くという見込みを維持している。また米国では、非農業部門の雇用者数が、雇用回復の目安とされる20万人を15年12月まで3カ月連続で上回った。
中国経済の減速が限定的なものにとどまること、および、米国経済が安定して推移することから、日本の輸出も底堅く推移すると見込む。15年度の日本のGDPベースの実質輸出は前年比1.4%増、16年度は同3.7%増となる見通しだ。
■設備投資も底堅く推移
内閣府が1月14日に公表した15年11月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季調値)」は大幅なマイナスとなった。ただ、これは10月に大きく伸びた反動という面が強く、内閣府が11月12日に公表した10~12月期見通しは達成される可能性が高いとみられる。
昨年12月の日銀・企業短期経済観測調査(短観)では、設備の過不足を示す生産・営業用設備判断DI(全規模ベース)が非製造業の不足を反映し全産業でもマイナスとなった。また、製造業、非製造業ともに同DIの先行きは低下傾向にあり、企業の設備投資の不足感は徐々に強まっている。海外景気の不透明感や株式市場の動きによって多少の変動はあるとしても、設備投資が底堅く推移する基調は変わらないとみている。
本予測では、15年度の設備投資を前年比1.5%増、16年度を同3.1%増と見通している。
(デジタルメディア局ナレッジコンテンツ部 渡部 肇、堀口 亜希子、田中 顕)