国内乗用車8社が27日まとめた2015年の世界生産実績(速報値、国内外の合計)は14年比0.6%増の2635万7770台と4年連続で過去最高を更新した。原油安を背景にSUV(多目的スポーツ車)などの大型車が好調な北米に加え景気減速が顕著な中国でも新車投入で販売を伸ばした。
世界生産で過去最高を更新したのは日産自動車(7201)、ホンダ(7267)、スズキ(7269)、マツダ(7261)富士重工業(7270)の5社。日産自は北米でSUV「エクストレイル」、ホンダは中国でSUV「CR―V」、「ベゼル」の販売が増えている。トヨタは消費増税後の需要減で国内生産を減らし、世界生産は0.8%減の892万9075台だった。
世界生産の伸びをけん引したのは海外での工場稼働の拡大だ。海外生産は3.7%増の1761万3667台で過去最高。トヨタ自動車の海外生産も北米向けのピックアップトラックやSUVの生産が伸びて14年比微増の574万631台と過去最高だった。このほかメキシコの新工場の稼働が本格化したマツダ(7261)は57万1352台と45%増だった。
国内市場の縮小と生産の現地化が進む中で国内生産は5.1%減の874万4103台だった。国内生産が最高を記録したのは輸出向けの「インプレッサ」などの生産を増やした富士重工業(7270)のみ。ホンダが23.8%減、スズキが11.5%減、ダイハツ工業(7262)が10.8%減になるなど、消費増税や軽自動車税の引き上げによる反動減が深刻な軽自動車メーカーの落ち込みが大きかった。国内販売は10.2%減の457万351台。一方で海外での需要増や為替の円安を背景に輸出は3%増の424万7565台となった。
15年12月の世界生産は前年同月比2.2%増の212万8876台と7カ月連続で前年実績を上回った。海外生産は4.1%増の141万7770台と10カ月連続の増、国内生産は1.4%減の71万1106台と3カ月ぶりのマイナスだった。国内販売は15%減の32万3768台と12カ月連続の減。輸出は10.5%増の38万7576台で4カ月連続のプラスだった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕