【ニューデリー=黒沼勇史】パキスタン東部ラホールの公園で27日起きた自爆テロを受け、同国のシャリフ首相は28日、米ワシントンで31日から開く核安全保障サミット出席のため予定していた訪米を取りやめると発表した。首相は28日夜の国民向けテレビ演説で「テロリストが最後の一滴の血で償うまでテロとの戦いを続ける」と決意を表明した。
核安全保障サミットにはサイード・タリク・ファテミ首相顧問が代理出席する。シャリフ首相は28日、ラホールを訪れ、テロ犠牲者の遺族や負傷者らを慰問。当面は国内にとどまり、事件の全容解明に注力する方針だ。
捜査当局は28日夜までにテロ犠牲者約70人のうち、約40人がイスラム教徒だったと明らかにした。イスラム過激派武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の一派は犯行声明で、少数派のキリスト教徒を狙ったとしていた。シャリフ首相は演説で「テロリストは(軍が進める掃討作戦で)潜伏先や訓練施設を失い、残党が(防御の手薄な民間人ら)ソフトターゲットを狙い始めている」との見方を示した。