主要産油国の会合に向かうサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相(左手前から2人目)=ドーハ、中川仁樹撮影
石油輸出国機構(OPEC)の加盟国や、非加盟のロシアなど18の産油国が17日、カタールの首都ドーハで会合を開き、供給過剰にある原油の生産を増やさないための具体策を話し合った。だが、増産を計画するイランへの対応などで意見が割れ、「さらに議論が必要だ」として、6月のOPEC総会にかけて協議を続けることとなった。
議長国カタールのアル・サダ・エネルギー産業相は会合後の記者会見で、「2月に比べ、原油市場は改善された」と最近の原油価格の上昇を評価した。一方で、アル・サダ氏は「イランなど主要な産油国が含まれれば、増産凍結の効果が高まる」と、イランなどの参加に期待を示した。
2月には、OPEC加盟のサウジアラビアやカタール、ベネズエラと、非加盟のロシアが、ほかの産油国の同意を条件に、原油の生産を1月の水準で据え置くことで合意していた。これを受けて開かれた17日の会合には、ほかに賛同するOPEC加盟国などが参加して、増産凍結に向けた方策を話し合った。
ただ、1月に欧米から経済制裁を解除されたイランは、制裁前の生産水準に戻るまで増産凍結には応じない方針で、会合への参加を見合わせた。ロシアなどはイランに猶予を認めることに理解を示していたが、イランと政治対立するサウジのムハンマド副皇太子は14日、米通信社ブルームバーグの取材に、イランを含む各国が増産凍結に加わらなければ応じない考えを、改めて示していた。
報道によると、17日の会合でもサウジはイランの参加にこだわったという。OPEC最大の産油国のサウジが強硬な姿勢を崩さない限り、協議の決裂は避けられない情勢だった。
協議の決裂を受け、18日の市場では原油の先物価格が大きく下落するおそれもある。金融市場にも動揺を与えそうだ。
原油の国際指標である米国産WTI原油の先物価格は、14年7月まで1バレル=100ドル台だったが、今年2月11日には1バレル=26・05ドルをつけ、03年5月以来の安値まで下がった。合意ができれば14年半ばに原油価格が下がり始めて以降、おもな産油国が初めて足並みをそろえて生産調整に乗り出すことになるため、足もとの米国産WTI原油の先物価格は期待感から少し上向き、15日は1バレル=40ドル台で取引を終えていた。