安倍政権は18日、6月1日までの今国会会期を延長しない方針を固めた。複数の政権幹部が明らかにした。これに伴い、衆院特別委員会で審議中の環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案については、今国会での成立が困難な見通しとなった。
安倍晋三首相は今月下旬から欧州各国を訪問するほか、5月26、27日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれる。夏の参院選を控えて大幅な延長が難しいなか、審議日程は限られていた。
さらに14日には、熊本地震が発生。安倍政権は、仮に会期を延長しても、重要法案の審議を円滑に進めて成立に持ち込むことは難しいと判断。政権幹部は「法案の採決を強行することは避けなければならない」と話し、強引な国会運営をすれば参院選に悪影響を与えるとの見方も示した。
TPPの承認案と関連法案については、首相が成長戦略の柱と位置付け、今国会での成立をめざしていた。審議は5日に始まったが、政府が資料を「黒塗り」で開示したり、審議を仕切る西川公也衆院特別委員長が「内幕本」を出そうとしたりしたことに野党が反発。質疑は一時中断し、18日に再開したものの成立の見通しは立っていない。
自民内では、農村部での反発が根強いTPPについて、24日に投開票される衆院北海道5区補選や夏の参院選への影響も考慮し、審議を参院選後の臨時国会に先送りすべきだとの声も出ていた。