天皇陛下の退位について「とりまとめ」を安倍晋三首相(右から2人目)らに手渡す大島理森衆院議長(同3人目)、伊達忠一参院議長(同4人目)ら=17日午後、国会内、岩下毅撮影
天皇陛下の退位について、与野党は17日、特例法の制定によって退位を可能とする衆参両院の正副議長の「議論のとりまとめ」に合意した。安倍晋三首相は「直ちに法案の立案に取りかかり、速やかに国会に提出するよう全力を尽くしたい」と表明。政府は5月の大型連休後に提出し、今国会中に成立する見通しだ。
天皇退位、衆参正副議長による「議論とりまとめ」全文
天皇退位、「とりまとめ」に対する7党会派の意見
とりまとめは、特例法の名称を「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」とし、典範付則に退位の文言を明記。付則に特例法は典範と「一体をなす」との根拠規定を置き、今回が将来の「先例となり得る」とした。「女性宮家」の創設を含めた安定的な皇位継承についても、政府に「速やかな検討」を求めている。
大島理森衆院議長は合意後、とりまとめを首相に手渡し、「立法府の総意を厳粛に受け止めてほしい」と要請。その後の記者会見で「各党・会派は己の主張だけでなく、合意点をどこに作れるかという苦しみの判断もいっぱいあった」と述べ、与野党の歩み寄りを評価した。
10の政党と会派の代表者を集めた全体会議では、自由党が「天皇陛下のお言葉を忖度(そんたく)していない」などとして反対した。最後は大島議長が「立法府の総意」としてまとめたが、自由の反対意見のほか民進、共産など計7党・会派が課題などを指摘した意見書については菅義偉官房長官に「参考としてみてほしい」と手渡した。
政府の有識者会議は22日にも再開し、4月下旬に最終提言をまとめる見通し。政府は大型連休後、特例法案と皇室典範の付則の改正案、皇室経済法など関連法の改正案を国会に提出する。