台湾の海岸巡防署(海上保安庁に相当)は6日、日本の沖ノ鳥島付近に派遣した巡視船など3隻が同島から200カイリ(約370キロ)付近に到着したと明らかにした。日本が同島周辺200カイリに設けている排他的経済水域(EEZ)に入ったと見られる。
到着したのは、1日に南部・高雄を出航した巡視船と漁業訓練船の2隻に加え、追加派遣した3千トン級の大型巡視船。台湾漁船の操業の保護が目的だという。台湾は沖ノ鳥島はEEZを設けられない「岩」だと主張、12カイリの領海外は公海で漁業の自由があるとしている。巡視船がEEZ内で活動することで、台湾の立場を示す狙いがある。
台湾の馬英九(マーインチウ)総統はこの日、訪台した自民党の岸信夫衆院議員や日本の窓口機関、交流協会台北事務所の沼田幹夫代表らと会見。公海での漁民保護のために艦船を派遣したとする馬氏に対し、岸氏らは「沖ノ鳥島をめぐる対応で、馬氏のもとでの日台関係の功績が大きく損なわれるのではと心配している」と懸念を表明。「台湾側の主張は受け入れられず、巡視船派遣に驚きと失望を禁じ得ない」と反論し、船を引き揚げるように求めた。(台北=鵜飼啓)