アジアからの観光客の姿が目立つ洞爺湖の遊覧船乗り場=4月、北海道洞爺湖町
主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の開催を受け、地元が期待する経済効果は現実か幻か。過去のサミット開催地の北海道と沖縄で答えを探した。
特集:伊勢志摩サミット
フォトギャラ「伊勢志摩、世界が注目」
■元町長「観光客が増えるほど甘くない」
4月中旬の平日、北海道洞爺湖町のバスターミナルにアジアからの観光客が次々と降り立った。開湯100年の洞爺湖温泉街は今、記録的な外国人観光客に沸く。札幌と函館を結ぶ「ゴールデンルート」の中間点にあり、2014年度の外国人宿泊客は前年度比1・6倍の延べ約19万人を記録。町の宿泊客全体の3割を占める。
ただ、にぎわいはサミット開催の実績とは関係がない。バスターミナル上階の「サミット記念館」では、08年の北海道洞爺湖サミットで使われた円卓などが無料見学できるが、台湾の男性(32)は「興味がない。サミットが開かれたことも知らなかった」。集客力があるのは遊覧船や免税対応のドラッグストアで、アジアの観光客誘致を担う関係者も「サミットは宣伝しても効果がない」と話す。
北海道経済連合会はサミットで約437億円の経済効果があったと試算するが、温泉街の08年度の宿泊者延べ数は前年度比6万人減の約69万人。その後もリーマン・ショックや東日本大震災を受けて激減した。