大手商社7社の2016年3月期決算が10日出そろった。各社とも資源価格の低迷のあおりで、海外に保有する資産価値の見直しなどを進めたことから損失が拡大。最終的なもうけを示す純損益は三菱商事、三井物産、豊田通商の3社が赤字に転落した。
企業決算
三菱商事と三井物産は、オーストラリアの液化天然ガス(LNG)事業やチリの銅鉱山開発などで巨額の損失を計上した。銅の価格が、ピークだった11年の半額の1トンあたり5千ドル程度まで落ち込んだことが響いた。丸紅や豊田通商も、石油や天然ガス事業の損失が膨らんだ。
住友商事はマダガスカルのニッケル事業などの価値を大幅に見直した。石油や天然ガス開発の停滞で鋼管事業の損失も181億円になった。非資源分野で手堅く稼いだ伊藤忠商事は純利益で業界首位に立ったが、オーストラリアの石炭事業などで損失を計上した。
各社は今後も資源価格の低迷と厳しい経営環境が続くとみている。採算の見込めない資源事業を整理し、非資源分野を強化することで強い体制づくりを進める方針だ。丸紅の国分文也社長は「2、3年で資源価格が大きく上昇することはなく、そうした前提では経営できない」と話す。
三菱商事は10日、食品やコンビニ、海外の自動車販売事業といった非資源分野に注力する内容の3年間の中期経営戦略を発表した。資源価格が当面上がらないことを前提に、19年3月期の純利益目標3千億円のうち、2800億円を非資源分野で稼ぐ。「資源をあてにした経営はやめ、資源価格が上がらなくてもしっかり経営する意志を示した」(垣内威彦社長)という。(石橋亮介)