シャープが12日発表した2016年3月期決算は、純損益が2559億円の赤字(前期は2223億円の赤字)だった。赤字は2期連続。その結果、借金などの負債が株主らから集めた資産を上回る「債務超過」となった。
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ただ、シャープは4月に台湾の鴻海精密工業から3888億円の出資を受ける契約を結んでいる。6月下旬以降を予定する出資が完了すれば、債務超過は解消できる見通しだ。
スマートフォン市場の伸び悩みで主力の液晶事業の採算が悪化し、営業損益が1619億円の赤字(前期は480億円の赤字)となった。在庫の評価を厳しく見直すなど減損などで670億円の特別損失を計上したことも響いた。
シャープはまた、鴻海の戴正呉副総裁を次期社長に迎えると発表した。6月下旬以降に鴻海が予定する出資を終えた後に就く。高橋興三社長は退任し、業績悪化の責任を示す。
戴氏は鴻海のナンバー2で、郭台銘会長の信頼が厚い側近の一人。日本語も堪能だ。シャープは、中国の家電大手ハイアールグループの「アクア」前社長、伊藤嘉明氏(46)ら外部人材の社長起用も検討していた。だが、液晶パネルや太陽電池などの主力製品の落ち込みが想定以上に進んでいる。このため、経営再建には親会社を主導とする強い指導力が必要と判断し、戴氏の受け入れに動いたとみられる。シャープが外国人社長を起用するのは創業104年で初めてとなる。