決算発表の報道資料などを棚に入れる各企業の担当者=13日午後2時22分、東京都中央区の東京証券取引所、杉本康弘撮影
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東京証券取引所に上場する企業の2016年3月期決算の発表が13日、ピークを迎えた。円安と原油安で業績が底上げされ、東証1部上場企業の売上高と営業利益の合計はいずれも過去最高を更新する見込みだ。
SMBC日興証券が12日時点での東証1部上場企業(金融などを除く)の決算内容を集計。未発表企業(約3割)は公表済みの業績見通しなどで推計した。その結果、円安で輸出企業の採算が改善し、原油安がコスト削減につながったことで、16年3月期は売上高が前年より1・0%増の491兆9560億円、営業利益は10・5%増の33兆5550億円になりそうだ。自動車や空運、電気・ガス業が好調だった。
ただ、米国で早期利上げ観測が後退し、日本銀行が追加金融緩和を見送ったこともあり、円相場は足もとでは1ドル=108円台近辺の円高に振れている。輸出関連企業の採算悪化が懸念されるため、12日までに各社が発表した17年3月期の売上高の合計は0・9%減の377兆9510億円、営業利益の合計は4・3%減の26兆3210億円にとどまりそうだ。SMBC日興証券の太田佳代子氏は「業績を下ぶれさせる一番の懸念は、為替の動きだ」と指摘する。
東証によると、13日は計747社が決算を発表し、過去最多の「集中日」となった。東証は期末後45日以内の決算発表を企業に促し、投資家が余裕をもって決算情報を分析できるように発表の前倒しも求めた。しかし、複数企業の社外取締役を掛け持ちする経営者が増えた結果、日程調整が難しくなって、決算発表が集中する事態を招いた。(下山祐治)