ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、16日付のフランスのカトリック系日刊紙ラクロワ(電子版)のインタビューで、欧米がイラクやリビアの文化を考慮せずに民主主義を輸出しようとしたことが、過激派によるテロが続く現状につながったとの考えを示した。
法王は、過激派組織「イスラム国」(IS)などが中東の不安定化に乗じて勢力を伸ばしたことを念頭に、強権体制のイラクや、部族社会のリビアに「あまりに欧米式の民主主義のモデルが輸出された」として、そもそも無理があったと批判。2011年に欧米の軍事介入でリビアのカダフィ政権が崩壊した結果、リビア情勢がかえって悪化したとの見方を示し、「文化を考慮せずに前へ進むことはできない」と述べた。
また法王は、欧州で難民・移民を拒否する動きが広がっていることについて、ブリュッセルのテロ犯が移民街の出身だったことに触れ、「最悪の受け入れの仕方は『ゲットー化』だ。移民はむしろ統合されなければならない」と指摘。ロンドンの新市長にパキスタン移民2世のイスラム教徒、サディク・カーン氏が就任したことを「欧州にとって統合の力を取り戻すことが重要だと示した」と歓迎した。(ローマ=山尾有紀恵)