源妙寺の渡辺住職(右)の指導で月1回の写経の会がスタート=埼玉県越谷市、早坂元興撮影
日蓮宗(総本山・身延山久遠寺〈みのぶさんくおんじ〉、山梨県身延町)が、都市部に新たな寺を開く僧侶を支援する制度を始めたのは、2009年のことだ。05年から宗内に委員会を立ち上げ、どの地域に寺を開けばいいか、2030年の人口予測データなどを参考に検討した。
「お寺はじめました」 僧侶ら、都市部でゼロからの挑戦
宗が指定した地域で募集し、書類選考や2回の面接を経て僧侶を決める。第1号は6年前、東京都国立市に誕生。埼玉県越谷市は2カ所目だ。
都市部の布教に力を入れるのは、地方から首都圏への人口流入に伴って寺とつきあいのない人が増え、寺を支えてきた檀家(だんか)制度が揺らいでいるためだ。文化庁の宗教年鑑(14年版)によると、主要10宗派の檀家は約3200万人。10年前より、約185万人減った。約5千寺ある日蓮宗の調査でも、檀家が減った寺は1992年の約8%から、12年には約36%に増えた。
一方、都市部には日蓮宗の寺がほとんどない空白地がある。日蓮宗宗務院(東京)の高桑正路(しょうじ)・伝道部主事は「ただ待っているだけではなく、空白地を活性化させ、日蓮宗の教えを伝えたい」という。
浄土宗(総本山・知恩院、京都市)も、宗の寺が少ない地域に戦略的に布教する。マンションを借りたり、自宅を改築したりして新たな寺とする僧侶に最長3年間助成。03年以降、首都圏を中心に21寺ができた。