英国の欧州連合(EU)からの離脱決定後初めてとなる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23日夕、中国四川省の成都で開幕した。各国は英離脱決定による影響を議論し、世界経済の下ぶれを食い止めるために政策を総動員する方針を確認する見通し。世界でのテロ頻発を受け、テロ資金規制についても議論する見込みだ。
日本からは麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が出席し、24日午後に共同声明を採択して閉幕する予定。黒田総裁は23日、開幕に先立って記者団に「英国とEUの(離脱)交渉は何年もかかり、不確実性がある状態は続く。我々も注視したい」と述べた。
英国のEU離脱決定後の金融市場の動揺はいったん落ち着きを取り戻しているものの、今後、欧州経済の減速など実体経済への影響が出てくる恐れもあり、初日の世界経済を巡る討議で主要議題となる見込みだ。
麻生財務相と米国のルー財務長官は23日朝に会談。米財務省によると、ルー財務長官は、2月の上海G20で確認された「政策を総動員する」との合意の重要性を説いたという。麻生財務相は月内にもまとめる大型の経済対策について説明した模様だ。
麻生財務相は23日夜、英国のハモンド財務相とも会談した。離脱交渉の今後の見通しを確かめ、財政出動による景気下支え策などについてきいたとみられる。
成都G20では、世界で相次ぐテロを受け、テロ組織に国をまたいで資金が渡ることを防ぐ対策などについても話し合う見通し。テロ資金流入を防ぐために税関申告の金額を引き下げることや、多国間での情報交換を強化することなどを協議するとみられる。(成都=土居新平)