「ウェストンが残した クライマーズ・ブック」
今年から祝日となった「山の日」の11日、日本の近代登山の発祥の地とされる長野県松本市の上高地などで記念の催しがある。祝日を前に、「日本近代登山の父」と呼ばれる英国人宣教師ウォルター・ウェストン(1861~1940)が残した「クライマーズ・ブック」の全訳本も初めて発刊された。
8・11「山の日」特集
ウェストンは、明治から大正にかけて3回来日し、北アルプスや南アルプス、富士山など日本各地の山に登った。槍(やり)・穂高連峰など日本の山を海外に紹介し、日本の登山家に日本山岳会の設立を勧めるなど、日本の近代登山の発展に貢献した。
1914年、ウェストンが最後の北アルプス登山で上高地を訪れたとき、宿泊した温泉宿の主人に託した一冊のノートが「クライマーズ・ブック」だ。今も上高地ルミエスタホテルに保管されている。
温泉場に滞在する欧米人登山者に対し、登山ルートや所要時間、天候などを詳細に記すよう勧めている。その後、第2次世界大戦を挟んで72年まで約80人の外国人登山者が書き継いだ。
松本市山岳観光課の加藤市朗課長は「上高地の大正池が出来た15年の焼岳の噴火を目撃した米国人登山家の記述があるなど、当時を知る資料として価値が高い」と話す。
松本市などが山の日に合わせて…