再稼働した伊方原発前で抗議する人たち=12日午前9時9分、愛媛県伊方町、井手さゆり撮影
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が12日午前、再稼働した。地元では約5年3カ月ぶりに町の「基幹産業」が動き出した期待感の一方、大地震と原発事故の複合災害への心配も広がる。原発前では反対派が各地から集まり、早朝から抗議の声をあげた。
伊方原発3号機が再稼働 運転中の原発、計3基に
「制御棒引き抜き操作を開始して、原子炉の起動操作を開始してください」。午前9時、伊方3号機の中央制御室で当直長が指示し、「制御棒」を引き抜くレバーを運転員が倒した。「9時ちょうど。3号機、原子炉起動を宣言します」と声が響いた。原子力規制委員会の検査官4人、愛媛県、伊方町関係者らも作業を見守った。
中央制御室の映像が中継された四電八幡浜営業所内のプレスセンターでは、伊方発電所の佐藤雅彦所長代理は報道陣に「やっとここまできた。事故は絶対起こさないという心構えで取り組む」と述べた。
伊方町民は様々な思いでこの日を迎えた。
「地震が起きれば津波の心配もある。原発の被害が重なったらどれほどの被害になるのか。想像がつかない」。原発から約5キロ東で農業を営む八島龍英さん(68)は、海を見ながら話した。近所の人と話すと、地域経済や生活を支える原発の再稼働を受け入れる意見も聞くが、「人の命に代わるものはない」と思う。
同じ地区で商店を営む菊池長喜…