〈最終図〉先番・井山名人(236手完)。58コウ取る(50)、61同(55)、64、67、70、73、76、83、86各同、101ツグ(62)、140コウ取る(134)、143同(137)、145ツグ(134)、162コウ取る(148)、168同(138)、170ツグ(165)、216二子取る(4)、229同(55)
第41期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)第2局は2日目の15日、愛知県田原市の旅館「角上楼」で打ち継がれ、午後6時53分、挑戦者の高尾紳路九段(39)が井山裕太名人(27)=棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖、十段をあわせ七冠=に236手までで白番中押し勝ちし、開幕2連勝とした。持ち時間各8時間のうち、残り時間は黒番の井山名人が1分、高尾挑戦者が35分だった。第3局は20、21の両日、静岡県沼津市で打たれる。
第2局タイムライン
名人の張った大模様に挑戦者が踏み込み、生きるか死ぬかの激闘になった。両者に疑問手の出る大乱戦を挑戦者が制した。
上辺黒83(55の地点=封じ手)からが2日目。名人は、上辺一帯の白の一団に圧力をかけながら、黒89から99で中央から下辺にわたる大模様をつくった。
挑戦者が白102からしのぎ勝負を挑み、名人は黒107と襲いかかる。挑戦者のしのぎにめどがついたと思われたが、名人が隙をついて、戦いは右下一帯の大規模な攻め合いに発展。難解な読み比べの末、白170で右下の黒を取りきった挑戦者が、勝利を確実にした。解説の伊田篤史八段は「双方に誤算のあった一局。しのぎ勝負の中、挑戦者は一時、パニックに陥ったように見えました。持ち直した挑戦者に対して、名人がその後、乱れました」と話した。(伊藤衆生)
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〈高尾九段の話〉 (白102あたりでは)たぶん苦しいけれど、それなりに戦えると思っていた。全然、読めていなかったが、右下の黒が取れて、よくなった。
〈井山名人の話〉 1日目はまずまずかと思ったが、判断が正しいかどうか。右下の攻め合いで黒163とアテるタイミングがなくなった。それでだめにした。