ハンドボールからパラスポーツへの転向後1年半で、銅メダルを獲得し、表彰台で笑顔を見せる辻沙絵=14日、五輪スタジアム、井手さゆり撮影
「メダル? 重いです。色んな思いがこもった重いメダルです」
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マツコ×辻沙絵 欲深さ、まぶしいわ
14日の陸上女子400メートル(切断など)の表彰式終了後、辻沙絵は首にかけた銅メダルの感想を聞かれ、そう口にした。
環境の変化がなければ、この大舞台に立てていなかったかもしれない。
在籍する日体大は2020年東京五輪・パラリンピックで学生、卒業生を合わせて70人の日本代表輩出を目標に掲げ、14年にパラアスリートを対象にした能力テストを実施した。そこで見いだされたのが、ハンドボール部員の辻だった。昨年2月から本格的に陸上を始めた。
さらに、大学は昨年12月、陸上部に「パラアスリートブロック」を創設。辻は横浜市内にある学内の陸上競技場で、健常者と一緒に練習できるようになった。辻は「高いレベルの選手を間近に見ることで刺激を受けた」と話す。多くの選手が苦慮する海外遠征費は強化予算などでまかない、医科学的なノウハウも利用できるようになった。
もちろん自身の努力と工夫もある。
4月に100メートルで日本女子初の12秒台をマークした。しかし、世界ランクはメダル圏外の5位。一方、400メートルになると、持ちタイムは同3位に上がる。監督とともに、種目の競技レベルと持ちタイムを考慮し、よりメダルに近い400メートルに重きを置いて取り組んだことが奏功した。
競技転向1年半。環境の変化と自身の努力がかみ合い、この障害クラスで日本勢初のメダルにたどり着いた。(榊原一生)