米ワシントンを訪問中の稲田朋美防衛相は15日午後(日本時間16日未明)、国防総省でカーター米国防長官と会談した。稲田氏は、NGO職員らが武装集団に襲われた際に武器を持って助けに行く「駆けつけ警護」など安全保障関連法に基づく新任務について、自衛隊が訓練を開始したと伝えた。カーター氏は「歓迎する」と述べた。
防衛省は陸上自衛隊の部隊を派遣している南スーダンの国連平和維持活動(PKO)が、新任務の最初のケースになると想定。同省は次期派遣部隊が「駆けつけ警護」や他国軍と一緒に宿営地を警備する「宿営地の共同防護」について、14日から実際の場面を想定した実動訓練を始めたことを明らかにした。
一方で、同部隊に新任務を付与するかについては、稲田氏は会談後、「状況を見極めていかなければならない」と記者団に述べるにとどめた。
会談ではこのほか、東シナ海での中国の動向を念頭に、尖閣諸島(沖縄県)が(米国の防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条の範囲に含まれると確認。北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射については、「安全保障上の重大な脅威」との認識で一致した。米国の核による日本への拡大抑止力も、改めて確認された。(ワシントン=相原亮)