がん患者らの遺伝子情報を診断、治療、予防に生かす「ゲノム医療」を推進しようと、厚生労働省は専門医師の養成や患者向けの相談支援体制の強化に乗り出す。来年度の政府予算の概算要求に、研修費など3400万円を盛り込んだ。
全国に約400あるがん診療連携拠点病院の一部では、遺伝性がんの診断で患者の相談にのったり、治療のための研究について説明したりする「遺伝カウンセラー」や「臨床研究コーディネーター」がすでに配置されている。しかし、遺伝子検査への関心が高まり、人材不足が指摘されている。
さらに最近は、生活習慣による遺伝子の変化とがんとの関連や、治療薬の効きやすさの目安などを、遺伝子情報から知ることができ、医療機関から検査結果の説明や治療への活用について、具体的な体制を求める声が上がっていた。
そこで、厚労省は来年度、主に医師を対象に、遺伝子情報や検査結果の見方、治療に生かす方法について情報共有する研修会を始める。看護師やソーシャルワーカーらが患者から遺伝子検査の相談を受ける際の窓口や対応方法も検討する。(福宮智代)