インタビューに答える英国のグレイリング運輸相=東京都千代田区、長島一浩撮影
欧州連合(EU)からの離脱を巡って、英国政界の重鎮で、離脱派の旗振り役であるグレイリング運輸相が来日中の9月下旬、朝日新聞の単独会見に応じた。グレイリング氏は、メイ政権が離脱交渉で移民の流入制限を重視していくと強調。EU側は、移民の制限と、EU単一市場への参加の両立は認めない姿勢だが、EUが英国の経済力を再認識して軟化する、と強気の見通しを示した。
――離脱交渉が来年には始まりそうですが、離脱後の英国の姿が分かるのはまだまだ先。英国に進出している日本企業に不安が広がっています。
「不安になる必要はない。国民投票の直後は英国経済の先行きを心配する声があった。でも今、英国は(欧州共通通貨の)ユーロ圏より順調だ。むしろEUから離れることで、英国は世界各国との連携を強め、新たな貿易やビジネスの機会が生まれる。英国はEUから離脱することでより外向きでより国際的になる」
――日本政府は先月、英国とEUへの要望書を公表。両者間の無関税の維持や、英国と大陸欧州間の労働者の自由な移動を求め、英国では「日本からの警告だ」と騒ぎになりました。
「とても助けになると思う。英国に進出した日本企業はEUで商品を売り、EUに進出した日本企業は英国で商品を売っている。そうした友好国が、英国とEUが将来に向けて友好的な自由貿易の関係を築くよう求めていることを、英国とEUの双方に気付かせてくれた。だから要望でも警告でもない。良いビジネスとは何かを思い出させてくれるリマインダー(注意喚起)だ」
――ただ、あなたをはじめとする「離脱派」は国民投票で、移民の流入の規制を掲げ、勝利しました。
「昨年は8万人の外国人が仕事を探しに英国に来て、公共サービスに大変な負担を強いた。受け入れがたいと感じた国民が『何とかしてくれ』と声を上げたのだ。英国を出入りする人々の流れをコントロールできるようにする」
「人々が仕事で自由に移動できなくなるわけではない。将来、英国に拠点を持つ企業が国際的な人材を英国外から探したい時には、十分に移民労働者を雇えるようになると思う。しかし、それはよりコントロールされた仕組みのもとでのことになるだろう」
――EUは、移民流入に制限を…