ブリュッセルで9日、EU首脳会議中に会見する英国のメイ首相=AFP時事
欧州連合(EU)の離脱交渉を控える英国のメイ首相は9日、「サッチャー氏は唯一無二」と述べ、EUの前身「欧州共同体(EC)」との交渉に強硬姿勢で臨んだ故サッチャー元首相に重ねられることを暗に拒んだ。離脱でEUが英国に求める巨額の金銭負担を巡り、英国内の強硬論を牽制(けんせい)した格好だ。
離脱交渉で難関の一つとみられるのが、EU側が英国に求める600億ユーロ(約7兆3千億円)ともいわれる「手切れ金」の支払いだ。2020年まで決定済みの中期予算の拠出金や、英国が拠出に合意した事業費を足し合わせたものとされる。
これについて、英国のジョンソン外相は「法外だ」として支払いに反対。サッチャー氏が84年、負担金に対して英国への見返りが少な過ぎるとしてECに「私のお金を返して」と迫り、結果的に一部返還を勝ち取った例を引き、メイ氏にも強い態度で交渉に望むよう求めていた。
メイ氏はこの日、EU首脳会議中に開いたブリュッセルでの会見で、「(国民投票で)人々が、EUに毎年のように巨額の支払いをしないよう望んだことはよく分かっている」と述べ、一定程度のEUへの支払いに含みを持たせた。(ブリュッセル=渡辺志帆)