英国を除く欧州連合(EU)の27加盟国は10日、ブリュッセルで首脳会合を開いた。欧州統合の原点となるローマ条約締結から60周年となる25日に発表する共同宣言の草案を協議。一部の国が先行して統合を深化させる案が盛り込めるかが焦点だ。
加盟国が足並みをそろえて統合を深化させることを前提としてきたEUが、国によって、速度を変えることを容認することになれば、大きな局面を迎えることになる。一部の国は反対しており、25日の式典に向けて調整が続くとみられる。
朝日新聞が入手した共同宣言の草案は、人、物、サービス、資本の移動の自由を原則とした単一市場などの維持を前提に「後から加わることを希望する国に門戸を開きながら、いくつかの国はより密接に、より早く行動できる」として、一部の国が先行して統合を深化させることを認める内容が盛り込まれている。EUを「可能な時は共に、必要な時には違う速度と強さで、行動する分かちがたい連合」とも表現している。
独仏、イタリア、スペインの4首脳は、この案に賛同することで一致。一方、ポーランドやハンガリーなどEUに後から加盟した中東欧の国々には、EUの主要国が進める統合に取り残され、不利益を被るとの危機感がある。スロバキアのフィツォ首相は「共同宣言が誰も救えず、傷つけるだけの国家の利害の寄せ集めになってしまう可能性がある」と牽制(けんせい)している。
また、9日の英国も加わった首脳会議では、トゥスク常任議長(大統領に相当)の再任が決定したが、内政上の理由で出身国ポーランドが最後まで反対。「EUはドイツの絶対的命令下にある」(ワシチコフスキ外相)と非難、宣言をめぐる議論でも妥協しない姿勢を示すなど、亀裂が深まっている。
草案を支持するオランダ、ルク…